宝くじ当選者のその後③:家族に分けた人
ヨーロッパで、350万ポンド(5億程度)を当選した夫婦は、息子4人で100万ポンド、孫9人で9万ポンドを家族に分けた。残りはまだ残っている。さらに304万ポンド当選した大学生の女の子は、両親のために新居と旅行と新車をプレゼント。姉妹のための豊胸手術を提供している。こちらもすべてを使い果たしていない。
このように、家族に率先して分けている人に関しては、そもそもお金に執着していない性格のため生活水準や浪費レベルが上昇し続けることもなく、現実的な範囲のぜいたくで収まっているようだ。
宝くじ当選者のその後③:「堅実にいよう」と決意しても徐々に浪費が増えていく理由
宝くじ当選者のその後について、「当選金を堅実に使おうとしたけど無理だった」という事例も多い。たとえば、当選者の中には「しばらくの間、堅実な生活を送っていたけれど、徐々に浪費が増えていきそれが習慣になっていき、当選金が底をついて元に戻った」と語る人もいます。
これに関係ある法則として、「ラチェット効果」と呼ばれるものがある。
「ラチェット効果」とは、「1度消費水準が上がってしまうと、その水準以下に下げることは難しい」という現象のこと。つまり、「1度だけ」「今回だけ」は、通用しにくいということですね。
具体的には、
- 家電を1つ良いものにしてしまうといつも選ぶものよりもグレードの高いものを選んでしまう
- 外食が無意識に増えて、食費が1日1500円だったのに、3000円になっている。
- 友人からの誘いの中でも、お金を使うような遊びに今までは断っていたのに積極的に参加するようになった
こういう無意識に起こるようなことが、どんどん増えて、いつの間にか生活水準が上がっていくわけですね。
宝くじ当選者の末路④:10年後、ほとんどの人は・・・
米国では「宝くじ当選を公表しなければならない」という法律がある。宝くじが公正に行われていることを証明するための措置だと言われている。「宝くじ当選者がその後どうなっているのか」を追いかけたいなら、米国の当選者を見てみるのが早い。
調べてみるとすぐに出てきた。
たとえば、「アメリカの宝くじ当選者は10年後どうなっているのか?」を追いかけてみると、そのほとんどが元の生活に戻っていたとか。不幸になったわけでも、幸福になったわけでもない。考えてみれば、宝くじの当選者のその後を考えるときは「不幸になったか、幸福になったか」の2択しかないと思い込んでいる。現実にはそのほとんど何にも変わっていないらしい。
ただし、アメリカの宝くじ当選者は1億ドルを優に超えるえげつない金額なので、破産することがない。その点において、アメリカの当選者と全く同じだとは言い難い。しかし少なくとも、巨額の金を手に入れた人たちが幸福になっていないことを考えると、日本の宝くじで破産していない人たちも幸福にも不幸にもなっていないといえる。日本でも有名な名書「ファスト&スロー」を著者である経済学者のダニエル・カーネマン博士も「幸福に対する金の効果はある程度のところで頭打ちになる」と研究で明らかにしている。その金額は750万円程度。しかも日本はアメリカよりも30%以上物価が安いです。
つまり、「日本人の宝くじ当選者の末路」についてそれっぽい結論を出すと、
- 年収500万相当よりも生活水準が低い人は、宝くじ当選によって幸福度は多少上がる
- しかしそれ以上は頭打ち
- 宝くじ当選しても、10年後はほとんどの人が同じ生活を送っている
- ほとんどの人は不幸にも幸福にもなっていない
- 破産した人は、不幸になった人じゃなくて生活が元に戻った人であり、その人すら不幸になっていない
- 宝くじで、現実的に得られているものは「幸福の安定」。不幸になっている人は少数派。