オーシャンクリーンアップの現在の成果【仕組み・日本との話】ボイヤンスラット

「the ocean cleanup」日本語でオーシャンクリーンアップは、2013年に設立された非営利団体であり、世界中の海からプラスチックごみを除去することを目的にしている。このような活動は、最初はうまく行っても規模が小さくまとまっていくことが多いが、オーシャンクリーンアップの成果は驚くべきものとなっている。オーシャンクリーンアップの仕組みやその創業者のボイヤンスラットらについても紹介する。

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オーシャンクリーンアップとは:その仕組みと開発者ボイヤンスラットの学歴

オーシャンクリーンアップは、たった1人の天才の少年ボイヤン・スラットから生まれた「海からプラスチックごみを取り除く」ためのシステムです。

○ボイヤンスラットさん、超天才な学歴
ボイヤンスラットさんは、16歳のときに家族とギリシャ旅行に行った際に、水中のプラスチックごみが魚よりも多い光景を目の当たりします。

この時の光景が頭から離れず、ボイヤンスラットさんは、海洋プラスチック汚染にかんする調査を始めて、18歳で大学を中退します。

ボイヤンスラットさんは、オランダのデルフト工科大学で航空宇宙工学を学んでいましたが、オーシャンクリーンアップの開発のために大学の中退を選びます。デルフト工科大学は、世界ランキングから見ても、東京大学や京都大学に並ぶ偏差値を持つ学校です。ボイヤンスラットさんは、地元だからこの大学を選んでいるわけですので、もっと上の大学に行くことも可能だったのでしょう。しかもその学歴を18歳で捨てて、オーシャンクリーンアップという大発明をしたのですから、大天才ですね

ちなみにボイヤンスラットさんは、2011年にゴミの問題に出くわして、翌年にはTEDで自分のアイデアを発表していたことが、現在では話題になっています。すさまじい行動力ですね。

○オーシャンクリーンアップの仕組み
オーシャンクリーンアップは、数万年かけても不可能だと思われていたプラスチックごみの回収を、数十年で可能なのではないかと考えられている「プラスチックごみだけを収集する」システムです。

オーシャンクリーンアップの仕組みを、簡単に図解した画像を、公式が出してくれています。

 

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上の図を簡単に説明します。
2つの船で長さ2kmの巨大なUの字になったシステムを引っ張っており、下の柱上の網の中にゴミを回収します。

巨大なUの字は3メートルのカーテン上の網となっており、より広い範囲のプラスチックごみを集めることができます。しかも魚を取るための地引網と違うのは、魚が離脱しやすいように下はあいていることです。それだけではなく、生態系への影響を極力抑えるための騒音抑止装置までついているというのですから驚きですよね。

では、オーシャンクリーンアップはどれほどのプラスチックゴミを現在の成果はどうなっているのか、具体的に見ていきます

オーシャンクリーンアップの現在の成果が凄すぎる

○オーシャンクリーンアップの成果
オーシャンクリーンアップは、2023年4月には世界中のゴミがたどりつく場所「太平洋ゴミベルト」から20万キログラムのプラスチックを取り除くことに成功している。これは、太平洋ゴミベルトに存在するゴミのわずか0.2%です。

しかし、2021年10月では9000キログラムだったことを考えると、たった2年でその量は20倍以上に増えている。オーシャンクリーンアップは、2040年までに90%のゴミを取り除くことを目指している。

ボイヤンスラットさんが、大学生になりたての単なる1学生から、300以上の企業に支援を求めてそのすべてに断られたところからスタートしたことから考えると、わずか「The Ocean Cleanup」を設立してからわずか11年でここまで来たのは驚異的だろう。もちろん、海洋からゴミを無くそうとする取り組みは世界中にあるけれど、この分野において最も規模が大きい団体であり、2022年の予算は90億円を超えており、それだけの費用を使えるほど支援者も多く期待されているプロジェクトです。

○現在は根底から問題を解決しているオーシャンクリーンアップ
当初は海だけだったオーシャンクリーンアップですが、プロジェクトがうまく進んだ現在では、海にゴミが流れてくる大元の川にも施策を繰り出しています。

オーシャンクリーンアップは海の掃除だけに満足せずに、調査を行った結果、プラスチック汚染の8割は世界の1000の河川から発生することを突き止めたそうです。そのため川にも焦点が当てられて、現在ではすでにいくつかの川で、大量のプラスチックごみが海に散らばるのを未然に防ぐことに成功していると言います。

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2024年には、新たに世界20か所の河川でのプロジェクトも行われており、オーシャンクリーンアップというプロジェクトはどんどんスケールアップしているのだとか。

ちなみにボイヤンスラットさんの生年月日は1994年7月27日、現在の年齢は30歳。今後、ボイヤンスラットさんが人生を賭してこの活動に取り組んだとすれば、世界中の海からプラスチックを減らして英雄として名を遺すのも間違いなさそうです。

オーシャンクリーンアップと日本とのかかわり

オーシャンクリーンアップは、実は日本とも関連が深いプロジェクトです。

○オーシャンクリーンアップが、日本で実証実験
オーシャンクリーンアップが世界初となる大規模実証実験を行ったのは2016年、場所はなんと日本の対馬、厳原町西岸から約800メートルの沿岸水域でした。対馬が選ばれた理由は、大量のプラスチックごみが漂着する場所として有名だったからです。対馬海流が日本海に流れ込む入り口に位置していることもあり、周期のある季節風らの条件も合わさって、たどり着いてしまうようです。

○太平洋ゴミベルトと日本
太平洋ゴミベルト(通称GPGP)は、日本の面積の4倍以上にもなる面積にもなる海に浮かぶゴミの集まりです。今オーシャンクリーンアップが焦点を当てている場所でもあります。
驚くべきことに、この太平洋ゴミベルトのゴミを回収してみると、そのうち30%近くは日本語でした。実は日本は、プラスチックごみ廃棄量ランキング世界2位であることが大きな要因でしょう。

 

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